本文
暮らしの水をささえている西野浄水場。水道部庁舎も同じ敷地内にあり,浄水施設と事務所の一体化管理による効率的な運営を行なえるようになっています。
また,環境に優しく人間にも優しい太陽光発電システムを導入し,きれいな環境作りにも努めています。
設備が新しくなったのはもちろんですが,お客さまにお届けする水は,すべておいしい水ができる緩速ろ過で処理しています。
水をきれいにする方法には,緩速ろ過・急速ろ過・膜ろ過,そして高度浄水処理システムなど様々な方法がありますが,それぞれの方法には特長があり,どれが適しているかについては,その地域ごとの事情により異なります。三原市が採用している緩速ろ過は,水中の砂の表面に繁殖した微生物の働きで水をきれいにするという自然の力を最大限に活用した方法であるといえます(緩速ろ過の詳細は,緩速ろ過方式についてまたは,中本先生の水コラムをご参照ください)。
緩速ろ過は一番自然な方法ですが,たくさんの人口を抱える都市では,その人口へ供給するために広大なろ過池の面積が必要で,全面的に導入するのは難しいのです。
急速ろ過では広大な土地も必要なく,その名の通り浄水処理にかかる時間も短縮でき,大都市圏では理にかなった方法といえるでしょう。
その他の方法も同様に,必要な量をお客さまに安定して供給するため,試行錯誤しながら考え出された処理方法ですが,設備にかかるコストなど,街の規模などによって検討しなくてはいけないことも多々あります。
平成17年現在,三原市の給水人口は約9万人。幸い緩速ろ過に必要な土地も確保することができました。全面的に緩速ろ過を取り入れるには,三原市の規模がちょうどいいくらいの大きさなのです。
三原市の水道の主な水源は沼田川で,伏流水を引いています。伏流水とは,流水が地下に浸透し流れている水のことで,すでに水源から引いてくる水自体が自然な形でろ過をされているのです。
では,水源から西野浄水場へ引いてきた水が,どのようにお客さまのもとに届いているのか,簡単に仕組みを説明しましょう。
図1 仕組み
西野浄水場では,すべて緩速ろ過で水を処理しています。
西野浄水場で作られた水は,同じ敷地内にある拠点配水池(15,000m3),(学校にある*25mプール30杯分)に貯められ,市内中心部のお客さまの家に送られています。また,西野浄水場で作られた水の一部は,拠点配水池からいったん同じ敷地内の高区配水池へポンプを利用して貯められます。これは標高90mの高台にあり,専用送水管を通して,三原市の西部地区を担当する沼田東基幹配水池,東部地区を担当する中之町基幹配水池へ自然流下で送水することが可能です。
2つの基幹配水池へは専用送水管で水を送り,西部地区を担当する沼田東基幹配水池では5,000m3,(学校にある*25mプール10杯分),東部地区を担当する中之町基幹配水池では4,000m3,(学校にある*25mプール8杯分)の水を蓄えることができます。*25m×20m×1mで算出
この2つの配水池から,皆さんの住まいの近くにある小型の配水池へと水が送られるのです。
浄水場の配水池,そして各基幹配水池には,突然の地震や事故に対応し,緊急遮断弁が作動し,万が一送水管が壊れた時にも,タンクに水を確保することができるようになっています。災害によりいっそう強い施設と言えますね。
第2回目は,浄水場の施設についてご紹介します!